物性物理(理論)を専攻するってどういう事

物性理論を専門とする人が考えた事について

トポロジー

大学院ではセミナーというものがあります。要するに何かしらのテーマについて講演者がレクチャーをしてくれる、というものです。ただレクチャーと言っても「お話」レベルのざっくりして聞きやすい場合と「授業」のようにこちらも集中して聞かないといけない場合と色々あります。本当に身につけたいと思ったらやっぱり授業くらいしっかりと教わったほうがいいですよね。そうなると「集中講義」と読んだほうがいいかもしれません。

物性理論ではトポロジカル絶縁体やトポロジカルな相(基底状態がなんらかの意味でトポロジカル)みたいな話題をよく聞きます。多分現代的な物性理論の教科書にはそう言った話題に踏み込んだ教科書も最近は増えてきているのではないでしょうか。僕自身、先ほどいったセミナーなどの機会でよく「トポロジカル」が枕詞になる話題を聞きます。しかしトポロジーという概念について「コーヒーカップとドーナツが一緒」みたいな話しか知らない。これではいけない、と。自分の研究に今は関係無くてもここまで標準的な概念になりつつあるのならば自分も勉強しなきゃいけないよなーと思って最近その手の教科書を読み始めました。以下が教科書。

https://www.amazon.co.jp/理論物理学のための幾何学とトポロジー%E3%80%881〉-中原-幹夫/dp/4894711656

残念ながら日本語訳は絶版らしく、(僕が持っているのは単なるラッキー)しかし理論物理とトポロジーの話ならこれだろ、と有名な本ということでこの本で勉強を始めました。実のところ、トポロジカル絶縁体についてだけ知りたければそういう教科書やレビュー論文を読めばいいのですがそれはそれでぼちぼち進めていこうと思います。

ともかく「中原トポ」を読み始めたわけですが今はまだ鎖群や輪体群あたりの定義を見ているだけです。ホモロジー群の定義も出てきたのですが、幾何学的な意味合いがいまいち掴めない。むしろ幾何学的な対象を群という代数的な問題に移しているという点でホモロジー群は優れているのかもしれませんが何かしらの幾何学的な意味合いが全くないなんてことは無いはずだと思っています。そうした問題意識を持ちつつもう少し読み進めてみます。