物性物理(理論)を専攻するってどういう事

物性理論を専門とする人が考えた事について

学部の頃に勉強した事-力学-

今、勉強していることについてまとまったことがしばらく書けなさそうなので学部の頃に勉強してことについて書いてみようと思いました。

とはいえ何か特別なことをやったかというとそういう訳でもありません。結局のところ講義で身につけた知識や考え方が大きいと思いました。というのも講義を聞くということはその分野の基本的な話の進め方、大雑把な理論構成を短時間で知るということなので結構お得だと思いました。大雑把な理論構成を知るというのは高度な分野になる程難しいなあと実感したので講義のありがたみというのは年々理解できるようになりました。

さて、今日は「力学」の勉強について話そうと思います。ここでは解析力学を含めるかどうかという点が微妙なのですが基本的に解析力学は含めないで話そうと思います。

やはり最初は学部の講義で基本的なことは学びました。高校物理を数額を用いて精密に組み立て直しているような内容なのではじめの方はとても簡単に思えました。しかし唯一腑に落ちなかった点が力学の基礎の基礎である「慣性の法則」でした。力が働かない物体が静止あるいは等速直線運動を行うように記述される慣性系なる座標系(あるいは観測者)が存在する、という法則であり慣性系に基づいた力学の枠組みを保証するものなのですが当初慣性系の存在を当たり前に思っていたのでもやもやしていたことを覚えています。

さて、学部で学んだのが大学1年の時です。1年後期では剛体の力学まで扱いました。これはなかなか厄介で苦手意識があったことも覚えています。その後大学2年になってしばらく古典力学からは離れるのですが剛体に対する苦手意識をどこかで感じていました。そこで大学2年の冬に改めて勉強しようと思い立ちました。あまり分厚い本を読むのは難だな、ということで薄い力学の本を探しました。そこで以下の本を教科書として復習を開始しました。

https://www.amazon.co.jp/力学-増訂第3版-ランダウ-リフシッツ理論物理学教程-エリ・ランダウ/dp/4489011601

知ってる人が見たら「確かに薄い本だけど...」という反応をされるかもしれませんが、幸い解析力学も一通り学んでいた身としてはとてもありがたい本となりました。解析力学による記述(特に対称性と保存量の話)がスッキリしていながらも、普通の古典力学教科書に載っているような話題(中心力場、練成振動、剛体の理論)などが含まれていたので載っている話題としても満足でした。しかしそれなりに重い本でもあったので大学2年の間に流石に全部読むことはできませんでしたがとにかく整理しておきたかった剛体の部分はだいぶ整理されました。

また、僕は外部の院を受けたのでその時の院試対策として過去問とは別に力学のまとめノートを作成しました。これは大学3年から4年にかけてです。結局この時にLandau「力学」のまだ読んでいなかった章を読みました。不思議なもので何度か勉強して、ほかの分野もある程度勉強しているとわかりやすく感じるものです。感じているだけかもしれませんが。練成振動や、剛体の章もさることながら、後半のHamilton形式の解析力学について、特にHamilton-Jacobi方程式の説明は為になりました。この方程式を使う事が現在の研究の現場であるのかはよくわからないのですが、少なくともLandau Lifshitzのシリーズの「場の古典論」ではHamilton-Jacobi方程式が割と使われているのでこのシリーズを読んでいこうと思うなら勉強しておいた方が良いと思います。これは余談ですが、経路積分という計算を量子力学で登場するのですが、その計算においてもHamilton-Jacobi方程式を使えると便利な事があります。というのも経路積分を具体的に実行する方法として古典経路の周りで摂動展開みたいなことをしたりするのですが古典経路の作用を計算する時に、終点の関数として古典経路の満たすべき方程式が結局Hamilton-Jacobiの方程式になってそれを解く羽目になったりするので(うろ覚えなので間違っているかもしれないです。)そういう時でもHamilton-Jacobi方程式を知っていると何をやっているのかが分かりやすいのではないでしょうか。

結局教科書としてはLandau「力学」に100パーセントお世話になりました。別にこの本を必ず読めと言いたい訳でもないのですが、僕のように一通り解析力学を知っていてもう一度力学全体を俯瞰したい場合にはちょうど良い本のように思えます。

テスト勉強の際にはGoldstein「古典力学」の演習書なども参照しました。

https://www.amazon.co.jp/古典力学-問題のとき方―原著第3版に基づいて-物理学叢書-瀬藤-憲昭/dp/4842703512/ref=pd_bxgy_14_img_3?_encoding=UTF8&pd_rd_i=4842703512&pd_rd_r=ef1b124e-cada-11e8-83b3-4373939c92b9&pd_rd_w=GFDDy&pd_rd_wg=bZOfv&pf_rd_i=desktop-dp-sims&pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_p=a4de75e6-d8f7-4a34-bd69-503ea4866e6c&pf_rd_r=YDHVMHRTP0XGPTV18APX&pf_rd_s=desktop-dp-sims&pf_rd_t=40701&psc=1&refRID=YDHVMHRTP0XGPTV18APX

こういう演習問題にもっと多く取り組むべきだったのかもな、と今でも思うことがありますが他に学びたい分野があるのでとりあえずそちらに進みたくなりますよね。

今回はここまでにしておきます。電磁気学量子力学などについてもいずれ書いて行きたいです。